新潟県 vol.2:涼し気な麻の着物「小千谷縮 樋口隆司さん」
2012年2月24日 in MOVIE
夏物の浴衣や着物を探していたというヒデが、興味津々になった麻の着物「小千谷縮」。洗濯機で洗えるという実用性と優美さを兼ね備える。
2012年2月24日 in MOVIE
夏物の浴衣や着物を探していたというヒデが、興味津々になった麻の着物「小千谷縮」。洗濯機で洗えるという実用性と優美さを兼ね備える。
2011年9月27日 in REVALUE NIPPON DIARY
魚沼市から長岡市へ、「味噌星六」の星野正夫さんを訪問した。
味噌汁が大好きなヒデさん。まずは米味噌1年、昔造り味噌2年、こだわり味噌2年などを味噌のまま試食。「麹、塩、水、大豆…それらをどう調合するかです。」と星野さん。
越後平野は水が良い事もあり、昔から醸造蔵が多いとの事。星野さんは水は山へ汲みに行っているという。試食の後で、気に入ったものを味噌汁にして頂くと、体がほんのり温まるのを感じて、ホッとする。
蔵へ行って、星野さんの説明を聞く。何度か味噌蔵も訪問しているのだけど、その造り方は単純ではないし、これが正解というのもない。ヒデさんも言う。「やっぱり、そこに行って、見て、何が難しいとか実際に作り手の方から話を聞いて初めてわかる事がありますよね。」
最近はネットが発達した事で何でも容易に調べる事は出来るのだけど、それが本物の知識として自分の身になっている事はとても少ないのかもしれない。
その次は燕市へ移動。彫金作家の市川正美さんを訪問。
市川さん、笑顔で優しい感じの方なのだけど、匠特有の芯の強さが、どことなく滲み出ている。この“象嵌”というのは彫金の技法のひとつで、元来は西洋から中国を経て伝わって来たとされるものだという。
市川さんの作品を見せて頂いたのだけど、どれも簡単には手を触れてはいけないような作品ばかり。ヒデさんも恐る恐る、けど食い入るように作品を見つめていた。
市川さんのお話で、最初の印象の通りだな、と感じた言葉があった。
「諦めたら負けですし、力尽きても負けですから…生きている限りは作品を作り続けようと思っています。」
世の中では名言などがもてはやされているけども、言葉単体に重みはなくて、それを発する人が言葉に重みをのせるのだと実感させられた。
この日最後は同じ燕市内で、鎚起銅器を作る「玉川堂」を訪問。
鎚起銅器とは、1個の銅の塊を、火で熱し、金槌で打ち伸ばしたり縮めたりしながら継ぎ目なく造られた器物の事。この日は七代目当主である玉川基行さんにお話を伺った。
「これを飲み比べてみて下さい。」と出されたのは、ガラスの器と銅器に入れられたアイスコーヒー。最初にガラスの、続いて銅器と試飲したヒデさんが感想を言う。
「銅器の方が、まろやかで苦みがない…?」そうです、と玉川さん。なんでも、銅イオンの効果があるとか。
ヒデさんは銅板でぐい呑み作りを体験。職人さんと玉川さんと並んで銅板をひたすら金鎚で叩き続ける。先に書いたように、この叩く作業によって銅板を伸ばしたり縮めたりするのだけど、「その叩いて縮めるっていう感覚が全くわからない…」とヒデさんは首を捻る。その理屈は、見ているだけの僕にはもっとわからなかった。
4日目。朝から彌彦神社、緑川酒造さんと続けて訪問。
緑川酒造さんでは、蔵内をご案内頂いた時の従業員の方々のとても元気な挨拶にどことなく嬉しくさせられた。お話頂いた大平社長はもともと洋酒販売の会社にお勤めされていた方で、これまでの酒蔵の方々とはまた違った視点をお持ちだった。「新潟の酒は淡麗辛口で米は五百万石。けどうちはその中でも米の味を残したいと思って造っています。」と大平さん。
利き酒の時、ヒデさんがお酒を口に含んで数秒後、「細い…ですか?」と言うと、「そうです!」と大平さん。
味の表現に、“細い”なんてあるんだ…と驚かされた。
お昼を「欅苑(けやきえん)」で頂いてから、小千谷市へ移動。小千谷縮(おぢやちぢみ)の樋口隆司さんを訪ねた。
サラッとした肌触りでヒンヤリ心地よく、夏にはもってこいの小千谷縮には、苧麻(ちょま)という原料が使われている。樋口さんにお話を伺った部屋にも、座布団やテーブルクロスなど、いたる所に小千谷縮があった。ヒデさんも初めて見たようで、やけに食いついている。
「これまで着物と浴衣は旅でも見て来たんですけど、そのちょうど中間のものが欲しいなって思ってたんです。」とヒデさん。着物を試着したヒデさんも、かなり嬉しそうだった。
樋口さんからは「折り目正しい」や「端折る(はしょる)」という言葉は、着物が語源となっている事なども教えて頂いて、言葉はやはりその国の文化を表しているのだと気付かされた。他にも、この小千谷はものすごい降雪地という事と、ご夫婦でサッカーと地ビールが大好きというお話を聞かせて頂いた。
特にビールに関しては、県内に約40名ほどいるという「ビアテースター」という資格をご夫婦揃ってお持ちなくらいに大の地ビール好きだという。ヒデさんも、「なんか、縮の話よりも嬉しそうに話されますね(笑)」とツッコミを入れていた。
小千谷縮の後に漆芸家の小山光秀さんを訪問してからその日は終了。
5日目、この日は早朝4時起きで新潟港へ。フェリーで佐渡ヶ島へ移動。6時に出発したフェリーで小腹が空いてしまい、食堂でカレーを食べた。大好きなはずなのに、早朝だったせいか何となく変な感じがした。
佐渡へ到着後、まずは鼓動文化財団の研修所へ。海沿いの道から山道へと入り、細くくねくねした道路を進むと研修所へ到着。山と海に囲まれた広い運動場に昔ながらの校舎のような建物。元々中学校だったとの事だけど、今ではここで数十人の若者が鼓動の研修を受けている。体育館の中から、何か地鳴りのような音が聞こえる。聞こえる、というよりは、胸を軽く連打されるような感じだろうか。
中ではお稽古が行われていて、この日は特別にデモンストレーションをしてもらえる事に。研修生の、まさに腹の底から張り上げるような声が体育館内に響く。続けて太鼓を叩く音が僕らの体の内部をドドドドドと震わせる。調べてみると、鼓童という名称は、“心臓の鼓動”、及び“子供(童)のように無心で太鼓を叩く、という意味があるらしいのだけど、実際に観て、感じて、その名称の理由が理解できた気がした。
研修生の生活は相当ハードらしい。早朝からのランニングやお稽古、その上基本的に自給自足との事で、研修生自ら自然農法を教わって農業活動もしているという。そのせいか、ヒデさんも「元気いいなぁ」と大声で挨拶される度に漏らすほどに研修生の顔には笑顔が張り付いていて、僕は正直、「こんな若々しい若者は最近見てないぞ…」と驚いた。