稲が作り出す極上のサシ「仙台牛生産者 大友学」

稲が作り出す極上のサシ
「仙台牛生産者 大友学」

仙台を代表する仙台牛

仙台といえば牛タンが有名。たしかに有名なだけにおいしい。でも、それとともにぜひ食べてみてほしいのが「仙台牛」だ。うまみと甘みのバランスがよく、脂もしっかりとのっていて、実においしい。
ただ、仙台で育ったから、宮城で育ったから仙台牛というわけではない。仙台牛を名乗ることができるのは、肉質の等級審査で一般的に「最高級」といわれるA5、B5ランクを得たものだけなのだ。ちなみにその下の格付けの肉は「仙台黒毛和牛」と呼ばれるそうだ。お話を伺った大友学さんによれば県の黒毛和種の総出荷量のうち3割程度しか「仙台牛」は生まれないのだという。それだけ厳しい審査をくぐり抜けた枝肉だけが「仙台牛」として出荷されるのだ。

宮城の名産「稲わら」が鍵

現在のようにトラクターなどの耕作機がなかった時代、宮城県では主に、稲作のための役牛として牛を飼っていた。稲作が盛んな宮城県だから牛の需要も大きかっただろう。ただし、実はこの稲作、現在は食用の牛にいい影響を与えているのだという。
稲作が盛んということは、稲からもみを取り去った「稲わら」がたくさん出るということ。実際に宮城県では全国に、飼料用、わら細工用に稲わらを出荷している。この稲わらが大友さんの仙台牛の肉に入っている「サシ」の鍵だという。飼料用の普通の草だときれいなサシが入らないのだそうだ。米どころ宮城ならではのおいしさの秘密がここにあったのだ。

おいしいと言ってもらえるから続けたい

中田が取材に伺ったとき、一頭の牛が出荷されるところだった。それを見て中田は「想像よりも小さいな」とつぶやいた。
「そのとおり、うちは主にメスの牛を扱っているんです。メスのほうが肉が柔らかくておいしいと思うので」
そう大友さんは話すが、牛は一頭生きたままの出荷なので、実は畜産家自身が自分の育てた牛を食べることはあまりない。買ってくれたお客さんと話をして、どんな肉かを知るのだという。そうやって意見を交わしながら、更なる向上を目指していると話してくれた。
「牛の畜産は、仕事としては利益率は低いと思います。労働も甘くない。だから、新規参入が難しい。だから、自分は頑張りたいと思います。なにより、おいしいって言ってもらえるのがうれしいですから、それだけで頑張ろうって思います」

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仙台牛生産者 大友学
宮城県大崎市