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夜空の自然の流れを感じる器「陶芸家 岩井純」

夜空の自然の流れを感じる器
「陶芸家 岩井純」

DATA
六華窯
宮城県仙台市

皿のなかでキラキラと輝く星

仙台市郊外に六華窯(りっかがま)という名の窯を持ち活動を続ける陶芸家の岩井純さん。作品は六華天目釉茶碗を独自に発展させたもの。結晶釉、天目釉を研究し、はっと息を飲むような美しい陶器を作り出している。
その特徴が皿のなかでキラキラと星のように輝く模様。2007年にローマで行われた個展で、アンティノー財団のラウラ・モナケージ女史が天空の星を想像させるとして 「アンティノーの星」 と名付けたほど美しい光なのだ。ちなみにアンティノーとは二千年前ローマ帝国のハドリアヌス帝が寵愛した美少年。ナイル川に投身し非業の死を遂げるのだが、それを嘆き悲しんだ皇帝が、その美しさを神格化し 「アンティノー星座」 として永遠に遺そうとした人物だ。その神格化されたほどの美しさが岩井さんの皿には浮かんでいると評価されたのだ。

海外へ出ておそれがなくなった

2007年のローマ個展もそうだが、岩井さんは1990年代から、海外での個展 <ANTINOO.シリーズ> を多く行っている。場所はアメリカ、イタリア、韓国など、さまざまだ。その経験で自身の作風にも広がりができたと話す。
「例えば金。金色というのはとても難しいんですよ。ひとつ間違うと、加飾によって華麗さが損なわれることがあります」 だから金を作品に用いるのにはどこか抵抗があったのだという。しかし欧州の文化に触れ、いろいろな人と話をするうちに、その抵抗はだんだんと薄れていったのだそうだ。それから金箔を用いた作品も焼くようになった。
現在は、温度によって釉薬の結晶を作り出すという新しい手法に取り組んでいるが、その柔軟な姿勢、さらに新しいものをという姿勢はさまざまな経験からきているのかもしれない。

皿の線引きを体験

中田の目の前には、素焼きの皿が。「ちょっといたずらしてみてください」 と笑って岩井さんが針を渡す。それで皿を引っかき、模様をつけていくのだ。その上に釉薬を流して焼いて模様を出す。
「やってはいけないことは?」
「ありません。好きに描いていいんです」
その言葉を聞いて安心したのか、中田は皿にぐっと集中する。
「定規でビシっと線を引いたほうがいいんじゃないか、なんて言われることもあるんですけど、自然な、ちょっと曲がっているぐらいのほうが私は好きなんです」 たしかに様々な作風がある。しかし岩井さんは、器に書いた線と釉薬の自然な色の流れで、これからも <ANTINOO.シリーズ> を創りだしていきたいという。ゆったりと優雅な雰囲気が作品からにじみ出てくるのはそのためだ。皿のなかに広がる深淵な青の宇宙。そんな表現が岩井さんの作品にはピッタリだと思う。

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