手から手へ、安心の野菜を 「ゆい自然農園」/長野県佐久市

手から手へ、安心の野菜を
「ゆい自然農園」/長野県佐久市

標高約1000mに位置する、長者原の農園。

八ヶ岳連峰の北端、蓼科山の中腹に広がる高原、長者原。長者というありがたい名前を持つこの高原は、標高約1000mに位置し、昼夜の気温差、日照時間など、野菜作りには適した土地だ。そこにあるのが「ゆい自然農園」。

由井啓盟(ひろちか)さんは、22歳のときに、故郷の長者原に戻り農業を始めた。また、奥様の由井喜代子さんは東京で働いていた時に農業に興味を持ち、長者原の啓盟さんと出会い、二人で農園を切り盛りしていくこととなった。
当初は、大量に生産して市場へ出荷していたが、喜代子さんは農薬を使わず、環境に負担をかけない循環型の「有機栽培」をしたいと提案した。そして1988年、この年に一念発起して農薬化学肥料を使用しない栽培に転換したのだ。

ただ、農薬を使うのをやめてみた。

ところが、最初の1年は無収入。それでも信念を曲げずに農薬を使わない野菜作りを続け、現在では80種類以上もの作物の生育に成功、有名レストランからも注文を受けるようになった。市場へ出荷するのではなく、収穫された野菜はすべて宅配でお客さんのもとに届ける産直方法をとり、顔が見える野菜作りをおこなっている。

「無農薬の農法はどこかで勉強されたのですか?」と質問する中田に、喜代子さんは笑いながらこう答えた。「いえ勉強というか、ただ、農薬を使うのをやめてみただけなんです。」肥料には、籾殻と鶏糞や馬の堆肥をねかせたものを使用し、野菜が小さなうちは日々除草を行っているのだという。

標高が高い長者原は気温の寒暖差が大きいため、野菜は甘みや栄養価を蓄えて育つ。「どんな野菜を作りたいかといったら、やっぱり食べて美味しい野菜ですね。」と話す喜代子さん。大転換から20年以上経た今でも、「ゆい自然農園」では、より安全で安心できる、おいしい野菜作りの研究に余念がない。

ACCESS

ゆい自然農園
長野県佐久市布施長者原
URL https://yui-shizennouen.jpn.org/