2011.08.08

山梨日記 中編2

その次は、「青木ヶ原樹海にある洞窟、氷穴、風穴」へ…。
道の駅でガイドの方と合流し、現地へ向かう。車通りもあまりない、夜だったら真っ暗である事間違いないような森に囲まれた道路の脇に入り口はあった。
この日も涼しいとは言え気温も25℃くらいはあったのだけど、「洞窟の中は相当冷えますよ。」という。
ヒデさんを見ると、いつの間にか万全の格好に変身している。
入り口の所でガイドさんが地図を指差しながら説明を始めた。
遠足のような気分になったのか、ライターの川上さんと牧がワクワクしながら喋っていると、「シーッ!説明してくれてるんだからさ、まったく…。」とヒデさんに怒られてしょんぼりとなる2人。子供のようだ。

 

 

それほど険しい道もなく、隕石でも落ちたような大きな穴に到着。
その下の方に洞窟が口を開けていた。足下が悪いので、手をつきながらそろりそろりと縦に並んで降りる。軍手をしていても、尖った石の固さや柔らかい土の感触がわかる。なぜか、懐かしい気分になる。
穴の下へ降りると、ハッキリと気温が低いことがわかった。洞窟の中は、もっと寒いらしい。
「ここからは足下に気をつけて下さい。氷ですので、すり足でお願いします。」
とガイドさん。それを聞いて、早速川上さんが牧を押したりしている…。
中は氷が張っていて光もなく、真っ暗。頼りはヘルメットについているライトのみという、必然と神経を研ぎ澄まされる環境で、とてもスリリングな時間を過ごせた。
終わってから車に戻り、ハンドルを握ると「無機質だなぁ…」と感じた。
電波が入った途端、携帯が鳴り出した。こうして普通に日常へと戻るのだ。

 

樹海を出た僕らは「米農家さんの武藤傳太郎さん」を訪問。
この武藤さん、寒冷地では美味しいお米は作れないという常識を覆し、農薬や化学肥料を使わずにつくるミルキークィーンという品種で数々の賞を受賞されていて、あのグルメ漫画の「美味しんぼ」でも紹介されたという方。
この日は丁度、穂が出る時期で、液体にした肥料を葉に散布して葉から吸収させる「葉面散布」をするらしく、ヒデさんもお手伝い。
その後、ご自宅にてお米を試食させて頂いたのだけど、夕食前だというのに止まらない。ヒデさんもとても気に入った様子だったのだけど、武藤さんの奥さん曰く、「うちは肉と魚以外は買いません。冷凍庫も使いませんし、料理は煮る、焼く、蒸す、ととてもシンプルなんですよ。」との事。素材が素晴らしければその上に何も足す必要などないのだなと納得させられた。

 

 

4日目、朝はまず、河口湖オルゴールの森美術館へ。
この日は天気も良くて涼しく、朝の河口湖は最高の雰囲気。自然と気分も高まる。
敷地内に入ると、まるでヨーロッパの小さな町がそのまま再現されているような場所。美術館内で巨大オルゴールによるサッカーの代表アンセムを演奏して頂いたりしたのだけど、ホールのような静かな場所に来るとどうしてこうも喋りたくなるのだろうかと考える。
それは多分、まわりが静かにしているという事は何かが始まる雰囲気が充満している訳で、だから自然とワクワクしてしまうのかもしれない、というような事をヒデさん達から離れた所で川上さんとコソコソ話す。
併設するカフェのテラスで湖とその向こうに見える富士山を眺めながらコーヒーを頂いたのだけど、これ以上の贅沢はないような空間だった。

 

 

次の訪問先は「陶芸家の松田百合子さん」。
目的地まであと200mほどの所、ナビに表示された「G(ゴール)」の文字のまわりは森で、道が表示されていない。何となく、Gに近づくようにナビには映らない道に入ってみる。
いつの間にかアスファルトだった道が、湿った土と草の、車一つすれ違えない程の小道へと変わる。美しく緑に溢れる森に囲まれた道の先に、こちらに手を振る松田さんを見つけた。笑顔で迎えてくれた松田さん、白シャツにグレーのオーバーオールがとてもお似合いだ。佇まいはどこか都会的で、上品なのだけど、なぜか緑に囲まれたこの環境に自然と溶け込まれている。
外から見ると古い歴史を感じるお家なのだけど、中のアトリエはモダンさを感じる作りになっていた。
なんでも、取り壊されるはずだった知人の家を譲りうけ、こちらの土地に移築されたという。森の中での暮らしと移築にあたっては大変な厳しさと苦労があったと予想できるけども、なんともこの家と環境を羨ましいと無責任にも思ってしまう。それほどに、素晴らしい。

 

ヒデさんが松田さんと作陶している間、僕は隙を見ては表に出て深呼吸をした。体が内から隅々まで洗われる気がして、幾度となく、森の空気を体いっぱいに吸い込んだ。これまでこういう気持ちになった事は、早朝の神社やお寺などで何度かあるのだけど、この場所はどこか特別な感じがした。
ヒデさんも、帰りの車の中で、「山梨、いいな。」と少し自慢げのようだった。

 

 

それから「勝沼醸造さん」に寄ってから「石原桃園さん」へ。
山梨と言えば桃だ。桃園に行くと、緑の木々になる不自然なほど美しい色をした桃たちに目を奪われる。イチゴと同じで、見るからに美味しそうだ。多分、食べ物と知らなくても口に入れたくなると思う。
「桃を触った手で、顔や口に触れないで下さい。」
と石原さん。桃にある毛でかぶれるらしい。
幾つかその場でもいで頂き、試食させて頂いた。
こちらでは葡萄も栽培されていて、その葡萄の下で食べる桃はまた格別に美味しかった。

 

 

■Staff Profile
日本全国47都道府県の旅で、現場マネージャー兼、カメラマン兼、ドライバーを担当。
10代でサッカーをするために単身ブラジルへ渡った経歴の持ち主で、
ポルトガル語・英語・フランス語を話す。