2013.07.20

山形日記中編4

さくらんぼ名人の軽部さんの所を後にした僕らはオリエンタルカーペットさんを訪問。通して頂いた応接室、当然なのかもしれないが、敷いてある絨毯が寝そべりたくなる程に気持ち良い。スリッパをご用意頂いていたのだけど、あまりの気持ち良さに撮影中は裸足になりたい欲求を抑えてスリッパを脱いだままでいた。ヒデさんは絨毯の質などもそうだけど、高層ビルへの搬入の仕方や管理、クリーニングの事まで細かく質問していた。確かに、何十畳もあるような部屋の絨毯を、地上何十階という部屋に運び込むのはどうするのだろうと聞いてみると、なんと、普通にエレベーターで、巧妙に折り曲げて入れて上げるのだそう。他にもここでは「へぇー」というような事を沢山聞かせて頂いた。
ちなみにワインが好きなヒデさんは、「絨毯にワインを零した場合はどうしたらいいんですか??」と実用的な質問もちゃっかりしていた…。
 
それから次は天童木工へ。ここはインテリア好きのヒデさんが楽しみにしていた場所。業界ではとても有名で、工場自体も大きいのだけど、こちらの家具は全て職人さんによる手作業で製造されているという。ご案内頂いた広報の方の言葉を借りれば、「職人さんが集まって作業をしている、という感覚」との事。
工場、というより大きな工房を歩いてまわる。完成品しか見る事のない僕らだから、「あ、こうしてああしてアレになるんだ!」という驚きの連続だ。まぁ、沸点が僕らスタッフより何十度も高いヒデさんはそう驚く事はないのだけど…。
旅を通して、大人になってからこうした工場見学が出来る事がとても嬉しく感じる。というのも、例えばこちらでは某国産高級車のハンドルなどに使われている木製部分を作られているのだけど、運転をしない子供はその部分に興奮できないだろう。大人だから驚ける事が、沢山あると気付かされる。
 
「今の所もそうだけど、山形の人はすごく謙虚だよな。あれだけのモノを作ってるんだから、もっとアピールしてもいいはずなのに。けど、それが山形の人の気質なのかもしれないね。」
帰りの車内でヒデさんが言った事だけど、本当にそうだなぁと思う。
 
この日はその後、水戸部酒造、若松寺とまわって最後に寒河江市美術館に行って終了。
3日目、まずは朝日川酒造さんを訪問し、お米農家の遠藤五一さんを訪ねた。
遠藤さんは少しお話を聞くだけで、農業のみならず、“食”全般についてものすごく学ばれているのが窺える。若い人達の体温が下がっている事や、その原因が砂糖の過剰摂取と考えられる事、そういう知識の上で良いと思ったお米作りを実践されている。
 
「健康なくして幸福はあり得ませんよね。」そう語る遠藤さんに、お昼を御馳走になる。
お米の美味しさは当然の事ながら、おかずにあった有機で作られたブロッコリーやキュウリなども絶品。ライターの川上さんが、「食べた時に、脳じゃなくて体が美味しいと言った気がした。」と言っていたのだけど、決して大袈裟な表現ではない。
最近はあちこちからお米をもらう機会の多いヒデさん。お米の保存方法について質問すると、「ペットボトルに入れて冷蔵庫に置いておくのが一番です。使う分だけ出して、またキャップして、という具合に。」と遠藤さん。
それにしても、今回の旅では実用的な質問が目立つヒデさんだ…。
 

 
それから次は米沢牛の達人と呼ばれる、鈴木英行さんを訪問。
米沢牛の定義は、米沢牛の協議会が認定した飼育者によって、18ヶ月以上継続して飼育されたものである事。牛肉にはメス牛と去勢して肥育するオス牛があるとの事だけど、鈴木さんの作る肉は100%メス牛だという。仔牛にしても、通常は宮城など県外から仕入れるのが普通との事だけど、全て米沢で生産された仔牛を肥育されているという。
84頭いる牛舎を見せて頂いた後、いざお肉を試食させて頂ける事に。もう、目の前で焼かれるお肉から目が離せない僕らスタッフ。食べて下さい、と促されて、表面上は平静を装ってお箸を持つ。僕が堪え切れずにうまい!と言う寸前、隣の川上さんが叫ぶ。
「おいしい!」
お米も作られているとの事なのだけど、お肉に負けず劣らずそちらも美味しい。先ほど遠藤さんのところでお昼を頂いたばかりなのに、美味しいものを前に満腹中枢は完全にショートしてしまっていた。
 

 
それから高畠ワイナリーさんを訪問し、この日最後は染織作家の諏訪好風さんを訪ねた。諏訪さんは、茜や紅花、サフランなどを用いて着物や帯、そして暖簾などのインテリアまで創作されるのだけど、全てを天然草木染めにこだわっているという。そんな諏訪さんの最初の言葉は、「自然の色を出す事が、自分の仕事だと思っています。」というものだった。
作品を見せて頂くと、その色の美しさに、触れたい衝動に駆られてしまう。
 

 
藍の話になると、本土と沖縄とでは、色の風合いも違うのだという。
聞いて驚いたのは、藍に栄養としてお酒を入れる事。しかも九州の方では、土地柄なのか、焼酎を入れる人も多いらしい。それにしてもお酒というのは用途が多様で驚かされる。そして何より諏訪さんのお話で一番印象に残った事は、“勘”について。
例えば藍染めについても、「自分にしかわからない技術というか、勘があるんですね。どれだけ繊細でいられるかがとても重要になんです。」との事。隣で聞いていた息子の豪一さん曰く、普段からとてもまわりに対して気を遣われる方なのだという。諏訪さんは雰囲気もとても素敵な方で、こういう大人になりたいな、と自然と思わせてくれる人だった。
 

 
山形日記中編5へ続く
 

■Staff Profile
日本全国47都道府県の旅で、現場マネージャー兼、カメラマン兼、ドライバーを担当。
10代でサッカーをするために単身ブラジルへ渡った経歴の持ち主で、
ポルトガル語・英語・フランス語を話す。