2007.06.15

Figo Charity Match!!

昨年の引退から1年、久しぶりにピッチの上に戻った。この1年、実は個人的にピッチに立つ機会っていうのは2度程あったけれども(Tibetと Myanmar)、基本的にはこの1年間、全くボールに触ることがなかった。それだけに、今回PortugalのLisbonで行われたCharity Matchに出ることは、興味半分怖さ半分、みたいなところがあった。というのも、久しぶりに素晴らしい選手達と素晴らしい舞台でサッカーをやれる楽しみ、それとこんなに長くボールを触らなかったことは、サッカーを始めて以来無かったから、まだボール感覚が本当に残っているのか、体力的に走れるのか、というような不安の両方。

 

選手はポルトガルの選手が結構多かったが、やはり知っている選手も何人かいて、今回の試合のオーガナイザーであるFigoを始め、Rui CostaやToldo、ChivuやZidaneなどSerie Aで戦った選手や、MendesやFerreira、GerremiなどPremier Leagueで戦った選手などがいた。そのほかにも、イタリア人歌手のEros RamazottiやColdplayのWill Championなどもいた。Erosとは以前イタリアで一緒にサッカーをやったことがあって、それ以来の知り合い。そして、Willとは今回初めて会ったけれども、たまたまロッカールームが隣だったこともあってだいぶ仲良くなった。

 

夜の21時15分からの試合に備え、19時45分くらいには会場入り。選手達と話をしながら時間をつぶし、20時半を過ぎたくらいから準備。スパイクは日本から昨年のWCの時に使っていたものを届けてもらった。というのも、先日ミャンマーで試合をやったときに、現地で急遽スパイクを調達して履いてみたら、なんと靴が合わなかったのか、左中指のツメの中が思いっきり内出血。しかも、これが6月7日で正直、この9日の試合に参加できるかどうか、ビビッていたくらいだったんだよね(苦笑)。やっぱりスパイクは大切。まあ、最終的には痛みは残っているけれど、どうにか動けるようにはなった。

 

それにしても、やっぱりこうやってWCの時のスパイクを履くと、さすがに気が引き締まる感じがしたよ。そして、20時45分、ウォーミングアップのためにグラウンドに出た。基本的にはこういった試合では、特に決まりもなく各々みんながそれぞれ体を動かしたり、パスをしあったりしながら体を温める。昨年、プロとしてのサッカー選手を辞めて以来、まともなサッカーの試合は、一度もしていないけれど、 たまにテニスをやったり、時にはボクシングをやったり、そうじゃないときにはジムに行って一応定期的には体を動かしていたけれど、ウォーミングアップを始めた時点で、とにかく自分の体が思い通りに動かないことに気づき、ボール感覚もかなり鈍っていることにビックリした。そりゃあそうだ。これはかなり集中しないとやばい!!

 

その後、いったんロッカールームに戻って着替え、いよいよ試合開始!! 会場には思ったよりも人が入っていて、あちらこちらに日の丸も見えた。なんかこの感じ、懐かしいな~。俺は後半からの出場ということで、SolariやMendesなんかといろんな選手のコメントをしながら前半はゆっくりと試合観戦。面白かったのは特にGerremiで、彼はどんな時でも100%を出す選手らしく、このリラックスムードのCharity Matchでも右サイドをがんがん駆け上がっていた。しかし、そんな彼の影響もあってか、FigoやRui Costaも徐々に本領を発揮し、Ibrahimovicもがんがん行き始める。おいおい、見ている方は面白いけど、一緒に出ている歌手や往年の選手は大丈夫か~なんてちょっと心配だった。Zidaneは相変わらずのボールタッチで、あの動きは定期的にサッカーをやっているとしか思えなかった。前半終盤には、両チームかなり攻め合ったが2-2で終了。

 

そして、いよいよ後半。出番がやってきた!! 俺は、MendesとSolariと共に中盤をやることに。始まって数分で気がついたことが。それは、体の切れがまったくないーー!! 軽いランニングのペースだったら走ることは出来るが、ここぞという時の一歩のダッシュやフェイントをしようとしたときにどうしても出遅れる。やっぱり、ジムのランニングだけだと限界があるな~。まあ、でもこれは想定済み。

 

こういうときは経験を活かし、ポジショニングと読みで勝負!! MendesやSolari、Ferreiraなんかとは初めて一緒にやるが、やっぱりこういうレベルの選手はだいたいやりたいことが分かるから、初めてでも一緒にやっていて面白い。

 

しかし、俺たちのチームには数人の若い選手達がいて、こういう選手達は往々にして自分でドリブルを仕掛けることしか考えず、全くパスをしない自己中が多い。自分のクラブチームでそれをやるんだったらいいけども、ここは見に来ているお客さん、そして一緒にやっている仲間を楽しませる場!! 特に、2 点取った若いポルトガル人選手は酷かった。本当にこういう選手がいると、こっちが疲れる……。おかげで最初は楽しい気分だったのに、途中からは気持ちが落ちてきた。

 

こういう試合での1番の醍醐味は何か?それは、普段の公式戦と違ってプレッシャーが少ない分、普段以上のパスワークやトリッキーなプレーが出しやすいということ。しかし、プレッシャーが少ないからといってただ闇雲に突っかかっても、そこはプロ。最後はもちろんきちんと止めに掛かる。だから、こういう試合で選手が心がけるべきなのは、普段なかなか出しにくいトリッキーなプレーや流れるようなパスワークなど、見ていてもやっていても楽しいようなプレーを出来るだけ出すこと。

 

しかし、多くの若い選手は自分を見せようと思うのか、ドリブルに走ってしまう選手が多いんだよね~。それに、特別参加している歌手や年配の選手のことも考え、彼等が上手く活躍できるようにパスを回したりすることも本当に重要なのに…。さすがに、前半に出た選手達はその辺がよく分かっていて、1人の歌手がドリブルを失敗したときに、わざともう1度ボールを返してドリブルをさせたり、審判だってパスしたり……。これが本当に見ていて和むし、楽しい気持ちにさせてくれる。そういうときには、会場からも拍手が自然に沸くんだよね。しかし、後半に出たErosやWillなんかはなかなかボールが回らなくて可哀想だった。もっと、良いチャンスでボールを回したりしてあげるべきだったのに…。

 

ただ、ゲームとしては最終的には5-4という結果だったし、まあまあ盛り上がったかな、という感じかな。ちなみに、今回のゲームで1番ビックリした選手は、ChelseaのPaolo Ferreira。これまで試合で対戦したこともあるし、もちろんTVで見たこともあったが、正直ここまで良い選手だとは思わなかった。しかし、今回一緒にやってみて地味ながらも彼のカバーリング能力や基本技術の確かさなどは目を見張るものがあった。人間的にも非常に良いやつだったし(顔から人の良さがにじみ出ているよね・笑)。次回試合を見る機会があったら、もうちょっと彼を注目してみてみると良いかも。

 

試合後は、サクっとシャワーを浴びていったんHotelに戻り、”Kais”というお洒落なレストランでみんなで食事!! もともと Guardiolaとは知り合いで、会えば話をするという感じだったが、今回かなり仲良くなり、俺はBarcelonaは街として非常に好きだということもあって、電話番号を交換して今度一緒にご飯でも食べに行くことになった(彼はBarcelona在住)。他にも、Solariなんかも仲良くなり、特に彼は日本にはかれこれ6、7試合で行っていてかなり好きだと言っていた。2人とも“今度日本で試合をやろう”と言ったら、快く来てくれると言っていた。日本でこんな世界選抜の試合が開かれるのも遠くない話かもしれない……。

 

っとまあ、こんな感じで今回のFigo Charity Matchは終わったんだけど、今回やってみて1番思ったこと!! それは、やっぱり俺は現役じゃないし、こういうチャリティーマッチの時は、多少はトレーニングをしなきゃな!っと言うこと(笑)!! チャリティーマッチとはいえ、見に来てくれる人がいるわけだし、きちんと魅せられるパフォーマンスをしないとね!!

 

あと、俺はやっぱりサッカーが大好きだし、こうやって観ている人も、やっている側も、みんなが楽しめるような試合を、これまでは自分が参加させてもらう側だったけど、今度は自分がオーガナイズしていけるようになったらいいなあと思った。引退から一年、世界中のいろんな国を歩き回り、つくづくサッカーの競技人口の多さに、今更ながら驚かされる。そんなサッカーだからこそ、言葉や、宗教や、文化や、国の壁など関係なく、いろんな人を魅了することが出来るし、新たな人と人の関係を作りやすい。その結果、サッカーを通じてならば、きっと、世界中で起こっている問題だって、少しだけ解決が出来るような、そんな気がする。サッカーなら、そんな手助けが出来るんじゃないかと、こうやって旅しながら、最近 強く思い始めている。そんな誰もが幸せになれるような試合を、この先やっていくことが俺の今の1つの目標である…。