2013.04.10

岩手日記中編4

岩手の旅、第二弾。前回の岩手訪問から1週間後の4月上旬、まだ寒さは残るものの、何となく冬の終わりを感じる。
最初の訪問先は陸前高田にある、きのこのSATO株式会社さん。佐藤博文さんにお話を伺った。
こちらは菌床(きんしょう)シイタケと生キクラゲの栽培を主に行われている。佐藤さん曰く、「土地柄ここは海風が吹くのですが、海風はミネラルを含んでいますので通常よりも肉厚で大きめに育つんです。」
 
ビニールハウスでは地元の女性達が黙々と作業をされていたのだけど、表情はとても活き活きとされていたように思う。
「私の目標は、被災地で失われた雇用を増やす事です。この町を、しいたけの町と言われるくらいにしたいですね。」
そう話される佐藤さん。小さく丁寧な話し方にも、前を向いたエネルギーが溢れているように感じた。
 

 
場所を加工場へと移して、「是非食べてみて下さい。」という事で、きのこが食べられないヒデさんに代わって僕が食べる事に。「けど彼、味わかんないんですけどね…」とボソボソ言われつつ、頂いてみた。
 
焼き具合も丁度良かったのだけど、美味しいと感じた。口の中でしっかり噛みながら、これは空腹だから美味しいのか、それとも他とは違う美味さがあるのかと考えたのだけど、元々しいたけを美味しいと感じた事がなかった僕が「ウマいウマい」とヒデさんに「食べ過ぎだよ…」と注意される程食べていたくらいなので、美味しかったのだと思う。

 

 
それから向かった先は一関市の藤沢町。陸前高田から1度南下して宮城県へ入り、再度岩手県へと入る。僕は何故か、この県境や国境というものにすごく気持ちが高揚する。
こちらでは陶芸家の本間伸一さんを訪ねた。
この日はずっと雨が降っていたのだけど、濡れた山道は気持ちが良い。車だからというのもあるかも知れないけども、人気のない山で雨の音だけが聞こえるという世界も悪くない。
本間さんは工房とご自宅が別なのだけど、まずはギャラリーも兼ねているご自宅へと伺う。ものすごく雰囲気のある、古民家だ。
 

 
本間さんは宮城のご出身。高校から東京へ行かれていたとの事だけど、「田舎で暮したいという思いが強まって…」と戻られたという。そこから陶芸を独学で始められて、今に至る。
程なくして工房へと移動。雨に濡れた細い草道を、傘をさして歩く。寒かったけど、澄んだ空気がものすごく美味しく感じた。
ヒデさんも久々の手びねりでの作陶体験。久々の割にうまく行ったからか、ヒデさんの表情もほぐれる事が多かった気がした。

 

 
2日目。盛岡市に宿泊していた僕ら、まずは久慈市へ移動。
車でずっと北上するのだけど、6℃からスタートした気温が途中で0℃まで下がり、久慈市に近づく頃にはまた7℃まで上がっていた事には驚かされた。
特に0℃まで下がった八幡平付近は一面まだ雪景色で、ほんの10分ほど前に走っていた場所とは全く違う景色だった事も印象的だ。
 
最初の訪問先は久慈琥珀博物館。
琥珀と聞いた事はあっても、僕は正直“琥珀色”という色さえ“ウィスキーの色”という認識しかなかった。
実際には琥珀にも、ドメニカ産やメキシコ産、他にもバルト海付近で採れるものもあるらしく、それぞれ色などで違いがあるらしいのだけど、どれも美しい。
 

 
そしてここ久慈の琥珀は、中でも最も古いと言われているとの事。学芸員の方の話によると、琥珀の中に虫や古代不純物があるかなどでその価値が決まるという。永久凍土に眠るマンモスではないけど、とてもロマンのある話にワクワクする。
 

 
ここではヒデさんも琥珀の採掘体験。
実際の採掘場へ移動し、長靴を履き、手にスコップを握る…。
なんて、似合わないんだろう…。
既に5m程掘り下げられている場所を、学芸員の方に「多分この辺りだと見つかり易いかも…」と促され、ガッガッとスコップを地面に差し込むヒデさん。
 
「あ、堅い、意外と堅い…」と言いながら、言われた場所を真面目に掘るヒデさん。ただ、なかなか見つからず、たまに「お、来た!これは違いますか!?」と何かを掘り当てるも、「あ、これは石ですね。」とガッカリ…。
少しすると、少し離れた場所で掘っていた学芸員さんが申し訳なさそうに、掘り当てた幾つかの小さな琥珀を白い器に入れて見せに来てくれた。
 
小さな琥珀の説明に「へぇ…」と答えたヒデさんが、おもむろに立ち上がり、場所を学芸員さんが掘っていた場所の近くに移し、またガッガッと掘り始めたのが何となく面白かった。
 

 
それから僕らは小久慈焼きの下嶽智美さんを訪問。
下嶽さんのお話からは、小久慈焼きへの思いが伝わって来る。ヒデさんは東京で行われていた「テマヒマ展」で下嶽さんの作品を既に見ていたとの事だけど、そこへの出展を機に、「客層も何となく変わりました。」と下嶽さん。
ここではヒデさん、“白いすり鉢”が大変気に入ったようで、5分近くあちこちの角度から眺めては下嶽さんに説明を受けていた。
 

 
「自分は食器屋だと思ってますので。」という言葉などから、下嶽さんは正に職人というイメージがピッタリ。実はこの近くで撮影がされているNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」にも食器をご提供されているという。
下嶽さんに片口と呼ばれる器の作陶過程を見せて頂き、ヒデさんも挑戦。「同じ形の物を、50個、100個と作るのも仕事です。」という言葉が下嶽さんの人間性を表しているように思えた。
 

 
久慈を後にした僕らは南へと移動。
途中、アンモ浦展望台や北山崎などの景勝地へと立ち寄る。
 

 
これまで聞いていた「三陸の海岸」というのを初めてしっかりと見たのだけど、ちょっと立ち寄るにはもったいなさ過ぎるほど気持ちの良い場所だった。
 

 
岩手日記中編5へつづく
 

■Staff Profile
日本全国47都道府県の旅で、現場マネージャー兼、カメラマン兼、ドライバーを担当。
10代でサッカーをするために単身ブラジルへ渡った経歴の持ち主で、
ポルトガル語・英語・フランス語を話す。