2013.07.20
山形日記中編3
7日目、朝は4時半起きで早朝より山寺へ。
時期は5月初頭、ガイドさんとの集合場所で車を降りると、ヒンヤリとした空気が肌に気持ちよく、吸い込むと清々しくて、美味しい。この時期は50年に1度の御開帳という事で、8時の御開帳に備えて7時近くなると沢山の人が並ぶという情報があった為、6時からゆっくりと見て回ろうという事に。ただ、この日記でも何度も書くけども、寺社仏閣は人の少ない早朝に限るのだ。以前と違って、僕も早起きにも慣れて来た。
まずはガイド地図にて場所と距離を確認し、簡単な説明をしてもらう。ヒデさんはこういう時、非常に真面目に、黙って話を聞いている。

地図で見ると…覚悟していたとは言え、階段がそこそこ長い。ガイドさんに聞くと、「800段以上あります。」と時間にして1秒に満たない回答を頂いた。ただ、ここ山寺では長い階段の途中に幾つもの解説ポイントがある為、いつもの耐久階段マラソン的な辛さはなかった。あまりの気持ち良さに、ガイドさんの話を全く聞いていない自分に気付く。ヒデさんは、相変わらず真面目に話を聞いたり、質問したりしている。
程なくして一番上にある大仏殿へ到着。見晴らしが、素晴らしい。こんな場所が近くにあったら、事ある毎に来る事間違い無しの場所だった。

1回目の山形の旅最後の訪問先は、山形仏壇の木地師、齋藤義孝さん。
お父さんも木地師だったという齋藤さん。仏壇についての話を、とてもわかり易く、ゆっくりと説明して頂く。宗派によって、当然仏壇も違ってくるという。話を聞いていると、やはり根底に宗教などの知識がなければ仏壇を作るという事は難しいようだ。するとヒデさんが、「お話を聞いていて、神輿と似ているなと思って。」というと、齋藤さんは仏壇と神輿と、両方作られる山形でも数少ない方なのだそう。話は中国産の仏壇にまで及び、「以前は木地だけ来てたんですが、今は完成品が来ますから。」と、まさか仏壇まで…と驚かされる。
完成間近の仏壇を見せてもらう。美しい金箔部分にヒデさんが注目すると、「金箔は、今の人は好まないんじゃないかな。」と齋藤さん。職人中の職人、という感じの齋藤さんだけど、本当の職人さんにはこうした柔軟な考え方があるのだ。伝統を押付ける事も、新しいものを否定する事もない。
仏壇の屋根だけを作る職人さんがいるように、この仕事も分業だ。「金箔に関しては…?」とヒデさんが聞くと、奥さんがやられているとの事。驚いたヒデさんが、「元々やられていたんですか?」と聞くと、「嫁に来たからな。」と笑う齋藤さん。それを聞いて笑う奥さんは、とても幸せそうで心がほっこりさせられた。

山形の旅、2回目の初日。
時期は7月、勝手に涼しいと思い込んでいたのだけど、意外と暑く、湿気もある。岩手に友人に山形の事を聞いてみると、東北の中では“暑い”という印象があるらしい。
最初の訪問先は、幻の里芋“甚五右ヱ門芋”をつくる佐藤信栄さん、春樹さん。
山形は、里芋消費量が日本一との事。そんな所に、幻と呼ばれるものがある…。現在ではここ佐藤さんの畑でしか作られていないとの事。早速畑へと連れて行って頂く。車道から林道へ入る。車を降りて少し歩くと、想像よりも広い畑が広がっていた。
甚五右ヱ門芋とは、室町時代から400年以上続く佐藤家の家宝として伝わる里芋の事。信栄さんの孫となる春樹さんで実に20代目となるらしいのだけど、農耕の歴史の深さを感じさせてくれる。この土地は粘土質で水はけがよく、里芋づくりに適しているそうで、この時はまだ膝丈くらいの苗も、1.5m程にまで伸びるという。「もはや景色が変わりますね。」と春樹さん。

その後場所を室内に移して、芋煮を御馳走して頂く。お昼にお蕎麦を食べた後だったのだけど、僕とディレクターの大島は、あまりの美味しさにお代わりまで頂いてしまった…・・。

2日目、まずは早朝より慈恩寺へ寄り、それからさくらんぼ名人と呼ばれる軽部賢人さんを訪問。ハウスに入ると、緑の木々に赤い点々が。山形と言えば、テレビ局の名前にさくらんぼがついているくらいのさくらんぼの産地。その中でも、さくらんぼ生産者、と言えば軽部さんの名前が挙がる程の方。
良いさくらんぼとはどんなものですか?というヒデさんの問いに、「全体のツヤ、光沢があるものがやっぱりいいですね。」と軽部さん。確かに木になっているどのサクランボにも、ツヤがあって実に美味しそう。
ヒデさんが説明を受けている間、僕は後ろの方で息子さんにお話を聞いていた。「どうぞどうぞ、もいで食べてみて下さい。」と言われて、食べてみる。
うまい…。そして止まらない。「どうぞどうぞ。」と言われながら、「いえいえそんな…」と返しつつ、ヒデさんの死角に入って美味しいさくらんぼを次々と頂く。後からグラム当たりのお値段を聞いて驚くヒデさんと、その後方で目を見開いた僕。どうぞどうぞと言われたからと、遠慮せずにうまいうまいと食うやつがあるかと心の中で反省した僕だった…。

山形日記中編4へ続く