2000.09.19
2000シドニーオリンピック“対 スロバキア”
トルシエも含め、多くの人々はこう思ったはずだ、“第2戦のスロバキア戦に勝ったら決勝トーナメント進出が決まる”と……。それだけ“ブラジル”というチームを特別視していたんだろうね。が、しかしその通りにいかないのがサッカー。今回もサッカーというモノの奥深さを思い知らされたね。本当に何が起こるか分からない。これ、サッカーの醍醐味ね!!
日本チームも結局2戦して2戦とも勝ち、勝ち点6をあげたにも関わらずまだ予選通過ならず。他のグループでは2勝しているチームは予選通過を決めているのに、よりによってうちのグループだけまだなんて……。
試合当日、この間の南アフリカ戦の日と同様に良い天気。でも、多少風が強いかな……。試合までの過ごし方は、まったく変わらない。起きて ― 散歩して ― 昼食 ― お昼休み ― 軽食を食べ ― ミーティング ― 出発。
散歩の時は、相も変わらず沢山の日本人観光客が付いてくる。チームスタッフが注意しても写真を撮る人は減らない。ん~~~。
この日の軽食には、またうどんが出てきたのだが、この間の教訓を得て改良をしたのにも関わらず酷くなっているらしい(俺は食べなかった)。
やっぱりうどんを作るのは難しいのかな~。俺は、おにぎりを食べてエネルギー充電!!
ミーティングの方は、トルシエもちょっと長いことを気にしたのか、前回よりも10分も短い!! おかげで眠くならずに済んだ(笑)。
おし!! 気持ちよく出発だ~!!
試合までの時間、チームはこの間よりもだいぶリラックスしているように見える。やはり初戦の勝利は、選手に自信を与えたのだろうか? それとも過信か? 会場は前回の試合同様日本の応援団でいっぱいである。WCでもそうだったが、ホームゲームに近い状態になる。
試合開始。相手は予想通り引いてきたが、その引き方は尋常じゃない。こっちのボールになったとたんに自陣に全員が戻り、守備体制をとる。ここまで引いてくるとは思わなかったな~。さすがにスペースが見あたらないよ。
ハーフラインまではフリーでボールを運べるが、その分FWや俺のまわりのスペースはまったくと言っていいほど見あたらない。まわりを見れば、敵、敵、敵である。よく、引かれたときの攻め方が日本は上手くない、って言われるけど、これだけ引かれたらどんなチームでも苦戦するよ。
たとえ、どんな実力差があったってね!!
前半は、強いて言えば相手の左サイド、要は日本の右サイドがチャンスになる鍵かな~って感じだった。あとは、日本がボールを持ってハーフライン付近でずーっとボールを回していると、最初は細かいポジション修正をしていたスロバキアチームもだんだんとボールを“見て”しまう傾向にあった。そこで、虚を突いた攻撃に移ると相手は立ってしまって反応できないこともあった。日本はどうにかチャンスを作るが、結局無得点に終わる。守備に関しては、特に危なげもなく、こちらも問題なく無失点に抑える。
後半。初戦を落としているスロバキアチームは、どうしてもこの試合に勝たなければならないので、だんだんとディフェンスラインが上がってきた。これによって、FWにもスペースが出来てくる。相手ゴール前でのFKを得、俺が蹴る。弾道は低く、相手選手の股間を撃破!! と同時に相手が速攻に移ろうとする。そこへボールを取りに行った俺の足が相手に掛かる。もちろんファール。そして、思いがけないイエローカード!! えっ、今のが!! 1試合目に続いて2試合目でも厳しい判定でのイエロー。これで第3戦目であるブラジル戦には出られないことが決まった。
この瞬間に俺の気持ちの何かが変わった。
“この試合、絶対に勝たなければならない”。
すぐに日本は柳に代えて酒井を投入。これによって、俺がFWへ。日本での壮行試合で、もっとも良かったと思われる形。
徐々にペースをつかみ始める。そして、後半の22分(頃?)、左サイドを突破したアツ(三浦)からのサイコーのセンターリング!!
ゴール前は、ディフェンダーが高原の動きにつられ俺と俊輔がドフリー。これまで何度となく外したヘディングシュート!!
ゴ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ル!!
日本にとっては喉から手が出るほど欲しかった待望の得点。しかも、俺にとっては次の試合に出られないという責任もあった。その上珍しいへディング。嬉しかったね~。この得点によって、どうしても負けられないスロバキアは、ディフェンスラインを上げざるをえなくなった。
こうして日本の速攻が始まる。これが見事に決まったのが、1点目からわずか数分しか経っていない後半28分(くらい?)。俺のパスから高原が抜け出しキーパーと1対1。自信を持ってシュートしたボールはキーパーに当たり無人のゴール前へ転がる……。これに反応したのが、これまで日本チームの中で最もチャンスを得ていたと思われる稲本!! ここまで走り込んだのが本当に報われた日本には大きな、大きな2点目!! 稲本もこれで一安心したことだろう。その後は、相手が数で攻め込み、それに対して日本は速攻を仕掛ける、という展開が続いた。
何度となくあったチャンスをモノに出来ない日本に対し、スロバキアはセンターリングから1点を返す。2-1。日本チームに緊張が走る。
終盤に相手のコーナーキックから何度か危ない場面があったが、どうにか凌ぎきり、タイムアップ。2勝目!!
これで、予選リーグ突破か? と思われた矢先に、ブラジルが南アフリカに1-3で負けたとの報告。
がーーーーーん!!
まあ、しかし他力本願ではなくて、次の3試合目も勝って自力で決勝トーナメント進出だ~!!
この試合後のHPへのみんなからのMAILで、“俺の調子が悪いのではないか”って言うのが沢山きた。しかも、その半分以上は、“解説者の誰々がそういっていた”というモノだった。
覚えている? これじゃあ、WCのころから進歩が全くないじゃない!!
あの時も、TVの解説者によって発言された言葉をそのまま俺にぶつけ、結局HPを一時ではありながらも停止せざるをえなかった。
あの時に、みんなに分かってもらえたと思ったんだけどな~。
俺自身の分析では、この試合の前半は、確かにあと半歩足りなかった(が、悪いと言うほどのモノではない)。後半、特に時間が経つに連れて俺の調子はドンドン上がり、最後は100%といってもいいくらいに良かった。
もちろん、パスミスがなかったわけじゃない。が、体のキレの問題がある。そして、“前半のパスミスが多かった”という点に関しては、もちろんパスミスがあったことは認めるが、先ほども書いたとおりにあの時、スペースがなかったのである。それでもチャンスを狙って無理に通そうとしたから、結果カットされる場面も多かったのである。でも、安全なパスばかりをしたら試合は動かない。そういうときには、たとえ成功率が低くても、勝つために、やらなければならないときがある。
俺自身、試合後にビデオを見てチェックをしたが、確かに画面に映っている場面だけを見ればパスミスに見えるかもしれない。が、試合は画面に見える部分が全部ではないのである!!
それが分からない解説者には、本当に残念だが……。
まあ、ともかくだ、大会途中にこんな部類のMAILをもらっても嬉しくない。もちろん、悪い働きをしたら文句を言われるのはしょうがない、と思う。でも、もうちょっと時期を考えてくれても良いのではないか、と思う(別に誉めてって言っているわけではないよ)。ちなみに、自分で試合を見ていて、俺の調子が……って言っている人は、俺のことを買いかぶりすぎじゃないかな?
さて、次の試合は最低でも引き分け以上が必要になってくる(自力決定の場合)。その大事な試合に、俺と隆三(鼻毛君)は2枚のイエローカードをもらったために出場できない。が、きっと他の選手がやってくれるだろう!!
ブラジルも、この試合を落としたら予選落ちも考えられるだけに、必死で来るだろうが、こっちもグループリーグの首位を走るくらい調子は良いし、みんなも自信をつけてきていると思う。俺は、チームを盛り上げ、応援し、準々決勝の準備に集中したいと思う!!