2000.09.16
2000シドニーオリンピック“対 南アフリカ”
朝起きて外を見ると、なんとも素晴らしい良い天気。
誰かが“試合の日は雪が降る”なんて言っていたのを思い出す。まったくばかげた話だ。
雪の「ゆ」の字も探せないような、素晴らしい天気なのに…。ちょっと風があったが、試合には影響もなさそうだった。
お昼前には、チーム全員でHOTELの隣にある素晴らしい公園に散歩。日差しが強く暑いくらいだった。
ストレッチし、昼食まで少し時間があったのでベンチに座り日向ぼっこ。あ~気持ちいいな。このまま寝たいくらい。
天気の良い日はこの公園で、家族連れや恋人同士でごろごろしている人々を見かける。こういう光景を見ていると幸せなんだろうな~って思うよ。本当に緑が多くて、良いところだな、キャンベラは…。
さて、チームはHOTELに帰り昼食を…。その後は、夕方まで部屋で休む。
一休みした後におやつの時間(笑)。ここでは久しぶりに、おにぎりやうどんが出る。
ホテルでの普段の食事は、前回のMAILでも書いたとおりに、いろんなチームが一緒に食事をするためこういったモノは出ない。まあ “KOSINOHIKARI”と書いてあるご飯は出るのだが…。おにぎりはなかなか美味しい。が、うどんの方は…何これ~粉っぽい!! ちょっと食べられそうにもない。諦めておにぎりで我慢をすることに…。エネルギーを充電して、ミーティング。トルシエ君の熱弁が始まる。約30分くらいなのだが、食べた後と言うこともあって、眠い~~!!
でも、真剣なミーティングの最中に寝るわけにもいかない!! 気合いだ、気合い~と集中をしてどうにか乗りきる(試合に使えよ、その気合い)。では、出発!!
“BRUCE STADIUM”に到着すると、そこには沢山の日本人が…。STADIUMに入るまでの花道の脇で警備員に押さえられながら声を張り上げて応援をしながら、写真を撮りまくっている。ん~ここは日本か? と思うほどの光景。
STADIUMの中にはいると中国女子チームが試合をやっている。さすが先のWC(ワールドカップ)で2位になっただけのことはある(よね?)。
結果3-1で勝利を収めた。同じアジアからということで、やっぱり嬉しいモノである。次は我々の番だ!!
試合開始!!
南アフリカには、マッカーシーというスペインでやっている選手、フォーチュンというマンチェスターでやっている選手などヨーロッパの強豪クラブでやっている選手が何人かいた。マッカーシーには確か、Romaで試合をしたときに得点を取られたような記憶が…。
すっごい速かったよな~。試合が始まり、その記憶が鮮烈に思い出された。速い、速い、速い!!
いくら身体能力に優れているっていっても、そんなに速くなくてもいいジャンか~!!
反則だ~、って言いたいくらい。
相手の攻撃は、予想通りドリブルを中心としていて、後は、フォーチュンが多少サイドにふるくらい。基本的にドリブルだから、もちろん怖いモノの、数的優位を作っておけばどうにかなりそうだった。これは、アフリカ系のチームにありがちなパターンだよね。
が、しかし、前半はこれが分かっていながらもなかなか出来ずに、特にサイドで1対1の局面を多く作ってしまった。
その結果、マッカーシーにサイドを崩され、綺麗なセンターリングシュートを喰らい先制される。1-0。
対して日本は、相手の速さからか最初ディフェンスラインが引いてしまって、FWとの距離が開いてしまう。
これによって、攻撃時には相手が自陣に戻る時間を与えてしまい、なかなか攻められない状況に。唯一こちらが攻められるのは、相手の攻撃中にカットをした場合。相手も前に掛かっているために、速攻が生きる。が、日本もディフェンスラインが深いために押し上げに時間が掛かり、決定打にいたるまでにはならなかった。
そして、前半終了間際、俊輔のドリブルからファールをもらう。
相手には、非常に背の高い5番がいた。こいつが1番の厄介者。どうにかしないとと思い、近いサイドか遠いサイドのどちらかに偏らせる様に動く。こいつが真ん中にいると1番邪魔だからね。今回は遠いサイドにいくように仕向けた。その結果近いサイドが空き、そこへ俊輔のナイスボールから高原の素晴らしいヘディングシュートが見事に決まり、1-1の同点とした。
この時間帯に同点にしたのは大きかったね。後半に入ってもこちらのこの作戦に見事にはまり、どっちかサイドに偏っていたもん。ともかく、これで振り出しに戻った!!
後半に入り、試合が膠着状態に入る。お互いいくつかのチャンスは得るモノの決めることが出来ない。
そこで、トルシエ君動きました。柳に代えて本山投入です。でも、この本山、なんと左サイドではなくて柳のポジションにそのまま入るとのこと。
ん、やったこと無いぞ、この布陣は…。まあ、本山は好きに動くようにって事かな…。
この交代が功を奏したのか、本山からのショートパスを俺が受け取り、高原の動きを確認。いったんは左サイドに流れかけたモノの、右サイドにスペースがあることに気が付いたのかそこへ向かって動き始めた。そここそ俺が求めていた場所!! スルーパス!!
キーパーに当たるかどうかの微妙な距離だったが、高原が一足速くゴールに蹴り込んだ!! やったー、これで2-1。勝ち越し!!
これで一気に波に乗る日本。そこからチャンスを作る。が、やっぱり3点目は奪えず。
相手も粘って最後の攻撃を仕掛けてくる!! あっ、やばい!! って思う場面が何度かあったが、どうにか凌ぎきりタイムアップ!!
初戦と言うこともあって、非常に難しい試合になった。
これに勝つと負けるでは天と地の差があった。しかも、先制されると言う嫌な展開だったし…。
が、俺達は勝った。これは非常に自信になったと思う。これで大きく前進したことは確かだ。ブラジルもスロバキアに3-1で勝ったようだし…。
しかし、俺は前回の’96アトランタ大会で初戦のブラジル戦を勝ったのにも関わらず予選通過ならなかった経験の持ち主。
ここはもう1度気持ちを引き締めて、次のスロバキア戦に臨みたいと思う!!
この試合の俺自身の調子だけど、体のキレは日本での壮行試合の時とは大きく違い、8、9割まで本調子に戻ってきた。
が、しかしサッカー勘を取り戻すのには時間が掛かった。Romaに移ってから違うポジションだったり、今までのポジションをやっても自分のやってきたモノと違うやり方だったりしたので、パスの出し方、動き方、というのを忘れてしまっている部分が現実あった。
やはり、こういったモノは日々の反復に寄るところが大きいと実感した。キックなどは、数日蹴らなかったらだいぶ感覚がずれるモノである。
前半は、これがそのまま出た。まあ、もちろん受け手との意志の疎通が出来なかった部分もあったのだが…。
が、後半に入って徐々にそれが思い出されてきた。その結果が日本の2点目につながったように思う。
あとは、やはり相手のマークが厳しかった。南アフリカは、基本的にマンマークだったが、受け渡しもしていたので、多少そこに穴があったのだが、次の試合からどうなるか分からない。だから、このマークが付いたときにどうするかって言うのをもっと考えていかないと…。
そうそう、イエローカードのことを結構みんな書いていたね。
俺もイエローをもらうとは思わなかったよ。この試合の主審はちょっと取り過ぎだったね。後ろからファールにいったモノに関してはすぐにイエローだったし…。このイエローをもらう前の俺が取られたモノは、ファールじゃなかったし、このイエローをもらったプレーも注意程度のモノだった。
しかし、あそこで簡単に突破されるわけには行かなかったからね~。相手の攻撃が続いていたし…。
まあ、しょうがないか、もらってしまったモノは…。予選3試合は、2枚もらったらその次の試合に出場停止だから、気を付けないと…。
次こそは、得点を取って勝つぞ~!!
ってことで、また明日!!
中田英寿
<今日のおまけ>
一つ言いたいことがある!!
俺達と同じHOTELに泊まっている人、その近辺に滞在している人!
お願いだから、選手が休んでいる邪魔をしないで欲しい!!
この俺達が泊まっているHOTELには、他のいくつかのチーム以外に、日本人観光客も多くの人々が滞在している。
そして、その中で、HOTELのロビーや俺達が泊まっている階に来て、サインをねだったり写真を撮ったりする人がある。
はっきり言って、すっごい迷惑。せめてHOTELの中くらいはリラックスさせて!!
食事会場をロビーから覗いたり写真を撮ったりする。
まったく馬鹿じゃないの?
隆三(森岡)の鼻毛チェックをチェックしたいのは分かるけど(たまに飛び出ている・笑)、それは我慢してくれ。
そういう行為によってストレスを感じている選手もいるんだよ!!