2010.10.23

愛知日記 中編

名古屋市を出た僕らはまた瀬戸市へと戻り、陶芸家の「竹内真吾」さんを訪ねた。
車通りの多い通りから車1台がギリギリ通るような細い道を山の方へと入った先に竹内さん宅はあった。街の喧噪も聞こえない、素晴らしい環境だ。
陽当たりが良く気持ちの良いリビングで竹内さんにお話を伺う。人をリラックスさせてくれるような、そんな不思議な力を持つ竹内さんの雰囲気にヒデさんも話が弾む。

 

ヒデさんが、「僕も、なかなか継続できないので、ろくろがあまり上達しなくて…。」という話をした。竹内さんは「あぁ、よくわかります。」という感じでこう言う。「ろくろは自転車と同じで、体で覚えるものなんです。だから若い方が覚えるのも早いし、ある程度継続してやらないとなかなか厳しいかもですね。」
この話を聞いて、自動車学校にたまにしか通わず、全く運転が上達しなくて1年経っても免許を取れなかった友達の事を思い出した。下手なのではなくて、体が覚えないのだ。

 

竹内さんの作品はとても特徴的だな、と思ったのだけど、次の言葉からも“表現”の大切さを感じる事が出来た。
「技術は長くやっていれば身に付いてきますが、表現力はそうじゃありません。まずは何を表現したいか、それを決める事がとても大切だと思います。」
この言葉、単語を置き換えればどんな事にだって言える言葉だなぁ…と後になって気付く。なりわいが何であろうと、成長する為に大切な事は、見える形や表現される言葉は違えど、中身は同じなのかもしれないな、と考えさせられた。

 

 

3日目、朝は6時に渥美半島の先にある宿を出て、約45km離れた豊川市の豊川稲荷へ。
この日は雨模様。下がった気温から季節の移ろいを実感する。
この豊川稲荷は、祐徳稲荷神社(佐賀)、伏見稲荷大社(京都)と並んで全国でも有数のお稲荷さんだ。(しかし、豊川稲荷は、正式には「妙厳寺」というお寺なのだという。)
敷地もとても広いのだけど、何よりも奥にある霊狐塚に驚かされる。無数の狐の石像がそれぞれ赤い前掛けをして乱立するその様は、一見、異様でもあるのだけど、近づいてみるとそれぞれがなんともかわいくも見える…。これにはヒデさんも多少は驚いていたようだ…。

 

 

それから僕らはまたまた渥美半島の先へ1時間かけて戻り、農家の三竹久夫さんを訪問。
まん丸い目と優しい笑顔が印象的な三竹さんは、子供が美味しく食べられるような、フルーツのような野菜を目指しているとの事。
ここは土地柄、年中海風が吹いていて、地質も非常にミネラルが豊富らしい。

畑に何かしら違和感を覚える。よくよく見てみると、土に砂利が混ざっている。これもまた、美味しい野菜作りにとても関係しているとの事だ。三竹さんはこう話す。
「動物も植物も同じじゃないでしょうか。人間も、例えば昔、下校の30分の間にお腹が空いて歩けなくてパンとかを食べてました。けど家に帰るとまたカレーを2杯でも食べれたものです。野菜にもきっとそういう時期があるはずだし、そういう時期には沢山食べさせます。」
これまでも農家さんを色々とまわってきたのだけど、三竹さんの話からは何か、新しい視点を教えられた気がした。
そしてそんな三竹さんは今、作物をもっと見分けたい、日々見続けながらもっと野菜を知りたいと言う。
「八百屋、というくらいだから800種類の野菜があるんじゃないですかね。死ぬまでに出来るかわかりませんが、その800を栽培してみたいといのが夢です。」

 

 

それから僕らは名古屋市内へ向けて100km以上を移動。
お昼に「矢場とん」にて美味しい味噌カツを食べ、すぐ近くにあった「コメダ珈琲店」へ。
ヒデさんの友人情報によると名古屋のスタバと言われるほどどこにでもあるらしく、そこのシロノワールというのがお薦めとの事だったので食べてみたのだけど、これが予想以上に美味しくてボリュームもあったのだけど、味噌カツで膨れていたはずのお腹にスッポリと収まってしまった。

午後はそこから同じ市内の「萬乗醸造」さんへへ。
ここでは15代目の久野さんより、まずは日本酒というものを1からじっくりと教えて頂く。ホワイトボードにこれまで何度も耳にしてきた単語が並べられて行く。酵母の働きや、畑の一反は300坪であるとか、その一反から穫れるお米の量だとか、興味深い話に引き込まれる僕ら。

ところどころ、ヒデさんに質問が振られて、ヒデさんがそれに答えたりする。まるで学校の授業のようだな、と少し懐かしくなったり。

 

 

それから僕らは豊田市にある「豊田市美術館」へ。
時間は17時過ぎ、美術館まであと2kmほどの所で、ものすごい渋滞に捕まる。
道路の右側にあるとてつもなく大きな工場からはどんどんと車が出て来ていたのだけど、そこはあのトヨタの工場だったのだ。
それにしても、こんな街の真ん中にこれだけ大きな工場がある事に驚いたのだけど、後で地図を見て調べてみると、市内には他にも幾つかトヨタの工場はあり、本当にトヨタの街なんだなぁ…と実感させられた。

 

愛知後編へ続く

 

■Staff Profile
日本全国47都道府県の旅で、現場マネージャー兼、カメラマン兼、ドライバーを担当。
10代でサッカーをするために単身ブラジルへ渡った経歴の持ち主で、
ポルトガル語・英語・フランス語を話す。