2012.02.15

茨城日記 中編2

4日目、まずは朝7時半より偕楽園へ。
ここは、金澤の兼六園、岡山の後楽園に並んで日本三大名園に数えられている。
とても寒かったのだけど、早朝の庭園はやはり気持ち良かった。園内には約3000本の梅が植えられているとの事で、毎年早春にある梅祭りでは沢山の人達が訪れるらしい。
ヒデさんも「あと2週間遅ければな・・」と少し残念そうだった。

 

 

その後途中で茨城の名産品店をヒデさんが発見。みんなで寄ってみる事に。
まだ開店間際で他のお客さんもいなかったのだけど、ヒデさんはじめ僕らスタッフ4人が店内の名産のお菓子を試食したりして、あれがうまいこれが珍しいとガヤガヤ騒ぎ、修学旅行のようでなんとなく楽しかった。

 

それから僕らは陶芸家の澤田勇人さんを訪問。まだ若い澤田さんは、お父さんも陶芸をやられていたとの事だけど、基本的には独学で学ばれたそうで、その話が面白い。
「父がずっとろくろやってましたので、僕には手びねりをやるスペースしかなかったんです。だから僕はろくろができませんし、逆に父は手びねりが出来ません。」
澤田さんの話で特に興味深かったものがあるのだけど、それは感覚と技術の話。
「常に感覚が技術より上でありたいと思っていて、技術が上に来てしまうとマンネリするんじゃないかって怖いんです。」
理屈では、確かに技術先行の作品作りというものには限界があるようにも思えるのだけど、感覚を常に先に置く事も、とても難しい気がした。
「だから、空いた時間があればクラシックを聴きに行ったり、舞台を観に行ったり、自分にとってツマらなくても、とにかく色んなものをみるようにしています。」
御自身の創作哲学を持っていて、それを作品に投影する為の努力も当然されていて、年下なのに本当に立派で…自分を省みて、深過ぎる溜め息が出てしまった…。

 

 

それから次は納豆の菊水食品さんを訪問。
こちらの菊池啓司さんは納豆職人と言われているのだけど、お話からは色々な発見があってとても面白かった。
まず、納豆は蒸し上げた大豆に納豆菌をふりかけて保温し、約1日ほど置くと発酵が始まって出来上がるらしいのだけど、この納豆菌にも宮城野菌(仙台)、成瀬菌(新潟)、高橋菌(東京)というのがあるらしく、その性質も「人の性格と同じで、様々です。」と菊池さん。
納豆のネバネバの正体はわかっていないとの事で、臭いに関しては「糸を引かせようとするとアンモニア臭が大きくなるので、糸を引かないようにして臭いを抑える工夫をしています。」との事。
菊池さん、以前は全く違うお仕事をされていたのだけど、お父さんが倒れられて、まわりから「お前がやらないといかんだろ。」と言われ、決心されたという。けど、それから「納豆職人」と言われるまでになられたのだから、すごい話だ・・。
ここではヒデさんも納豆の箱詰めを体験。意外と器用にこなす彼に、菊池さんも驚かれる。
「あんまり出来ちゃうと、僕らの立場がなくなりますよ!」と笑われる菊池さん。工場にいらした従業員の方々もとても明るい雰囲気で、素晴らしい職場に思えた。

 

 

この日は最後に日立市にある森島酒造さんを訪問して終了。
僕らは訪問先の合間合間に、ヒデさんが調べたスイーツ屋さんにちょこちょこ寄っているのだけど、「なんか茨城って…美味しいスイーツ屋さん多いな!?」と味にうるさい彼がビックリしていた程に当たりの店が多かった。

 

5日目、まずはガラス工房S I L I C A(シリカ)さんを訪問してから、和紙の菊池正氣さんを訪問。この方は、紙布の桜井さんが「この人の和紙だから紙布が作れるんです。」とまで言われる和紙漉き職人だ。
工房の水槽には、山から直接引いた自然の水が気持ちよい音を立てて流れていて、聞けばこの水は弱アルカリ性らしく、「この山の水は和紙作りにはとても適しているんです。水道水だと、粘りがきかなくなりますから。」と菊池さん。
以前はこの当たりには相当数の和紙職人がいたらしいのだけど、今ではたったの2軒しかないという。「なぜ衰退したかというと、第一に問屋がなくなったんです。職人は金にするのが大嫌いでしょ?」との事。菊池さんの話には問屋さんが沢山出て来るのだけど、それは紙漉きにも通じていて、先代から良い紙とは「問屋から好かれる紙」だと教えられた菊池さん。
「ある時、人間の手を加える程に繊維質が弱くなる事に気付いたんです。それから医薬品をあまり使わなくなりました。そうしたら、御得意さんから“この紙使えるよ!”って言われるようになって。」
この日菊池さんはとても美しい藍色の作務衣を着用されていたのだけど、ヒデさんが「それってもしかして…」と訊くと、「そうです、桜井さんに紙布でつくってもらいました。もう何十年も着ています。」との事。それにしてもよく何にでも気付く男である。

 

 

その後で納豆の丸真食品さんへ。
こちらでも色々な納豆をご試食させて頂いたのだけど、途中のお話の中で驚いたのは、この辺りの小学校では、給食に毎月納豆が出るのだという。
以前長野の旅で、鯉で有名な佐久市では学校給食にも鯉料理が出ると聞いて驚いた事を思い出した。

 

 

この日最後は月待ちの滝へ。
この旅では、というかヒデさんはあまり景勝地には関心がないようなのだけど、滝は別物なのだろう。ここはそれほど大きな滝ではなかったのだけど、夕刻だった事もあって人もおらず、ゆっくり水の音と自然を楽しめた。滝の下まで行けるようになっていて、ヒデさんは落ちてくる水の向こう側に行ってしまった。後から僕と牧、ライターの川上さんとカメラマンの高橋さんらおじさん達もはしゃぎながら滝の真下へ。その付近は氷が張っていてとても寒かったのだけど、みんなハイテンションになって、微妙な記念写真を撮ったりして楽しかった。

 

 

茨城後編へ続く

■Staff Profile
日本全国47都道府県の旅で、現場マネージャー兼、カメラマン兼、ドライバーを担当。
10代でサッカーをするために単身ブラジルへ渡った経歴の持ち主で、
ポルトガル語・英語・フランス語を話す。