2012.03.15

神奈川日記中編2

熊沢酒造を出た僕らはみやじ豚のみやじ農園さんを訪問。
こちらは豚肉の味を決める3大要素と言われる「血統・餌・育て方」に大変こだわりを持っているとの事。なんでも、親豚になる豚の体格や肉付きはもとより、歩き方がしなやかかどうかまでも見るらしい。他にも、ストレスのない環境づくりの為に兄弟豚を一緒に育てる「腹飼い」も実践されている。
こちらでは宮治勇輔さんにお話を伺ったのだけど、そのとても論理的で自信に溢れた話し方は、農業というよりも、まるで経営コンサルの方のようだった。
お庭にてバーベキュー形式でお肉を焼いて頂いたのだけど、こちらの豚肉の最大の特徴と言われる脂、確かにサラッとしている。寒さも忘れ、小食のヒデさんに代わって僕は何枚食べたのかわからないけども、やはり外で食べるお肉は美味しかった。その間、宮治さんとヒデさんの会話は農業のブランディングの話で盛り上がり、果ては文化のブランディングにまで飛躍していた。そこで感じたのは、ヒデさんが気にする事やよく会話に出す事は、だいたいどの分野の方とも共通して話す事が出来るのだという事。物事の本質を見るというのは、そういう事なのかも知れない。

 

 

その後は箱根ガラスの森美術館と箱根ラリック美術館へ続けて行ったのだけど、箱根という場所は「温泉街」というので有名になり過ぎているのかもしれない。訪れた2つの美術館はまさにそう思わせてくれる場所だった。ヨーロッパのような雰囲気を味わえるこんな場所を知っていたなら、ずっと早くに来ていただろうなと、溜め息まじりに思ってしまった。

 

 

6日目、まずは川崎市にある川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムへ。
マンガ大好きのヒデさんをはじめ、僕らの世代からするとどうしても胸がワクワクしてしまう場所だ。中に入ると「パーマン」や「ドラえもん」などの見慣れたキャラクターがあちこちに溢れている。また、至る所に、例えばトイレのマークなどひとつひとつに夢やアイデアが散りばめられていた。
ヒデさんのキャラなどに対する知識はご説明頂いたスタッフの方にも負けず劣らず…。どれだけのマンガを読みこなしているのかと驚かされた…。

それから次は陶芸家の百田輝さんと林亜美さんのアトリエを訪ねた。
このアトリエは中庭からの採光がとても豊で、明るく、外の寒さを忘れられる程に温かさを感じれる場所。漠然と、いいなぁ、住みたいなぁ、こんな場所で陶芸をやるって素敵だなぁ、などと妄想せずにはいられなかった。

 

 

ヒデさんがよく御飯を食べに行くお店の器の多くが百田さんのものらしく、ヒデさんはその作風をよく知っているようだった。
ヒデさんもいつも通り挑戦してみる。百田さんと林さんのお2人から土に触れる手の角度などの助言をしてもらうのだけど、まさに言うは易く行うは難しで、なかなかうまくは行かない。
「理屈はわかるんですけどね…」と解けない問題を前にした子供のような表情のヒデさんだった。

 

 

続いて向かった訪問先は、染色家の斎藤孝子さん
型絵染とは、図案から型彫り、型付け、彩色までの全ての行程を1人で行う染色技法なのだけど、全てを1人で行うからこそ、その人の個性、創作性に富んでいるのが特徴とされている。
斎藤さんは「草花」をモチーフにされることが多いという。
「皆何かをモチーフにしています。それは大半が日常にあるものではないでしょうか。」
確かに、色々な作家さんも、モチーフは散歩の時に見つけた植物だったり、生き物だったり、という話を沢山聞いて来た。そう考えると、美しいものを作るセンスというのは、美しいものを見つけるセンスという事なのかもしれない。
斎藤さんは、元々芸大で陶芸をやられていたとの事。そこでは、加藤土師萌先生という、人間国宝の方に師事しておられたとの事だけど、「なのに、今は染色をやっています(笑)」と笑って話される。自分の気持ちに、正直な方なのだなと感じた。
ヒデさんが作品を一通り見た後に、「鮮やかな作品がとても多いですね?」と訊ねると、「私はモダンな、美しいものを作りたい。時代を見ながら、現代の感覚にも敏感でいれるよう気をつけています。」との事。
染色の旅として、アフガニスタンやフランスなども訪れたという斎藤さんは、明るくて、優しい雰囲気に溢れた方。
美しいものに気付けるようになれば、斎藤さんのような雰囲気を持てるのかもしれない。

 

 

この日最後の訪問先は横濱君嶋屋さん
旅では初となる、お酒の生産者さんでなく、販売者さんだ。ヒデさんとは既にずっと以前からの知合いという君嶋さん、話を聞いているだけで、お酒に対する愛情と思いが伝わって来る。君嶋さんお薦めのワインなどを試飲させて頂いたヒデさん。やはり酒好きで、ちょっとのはずが、「あ、確かあれも…」と思い出しては次々にお酒が並べられ、もはや飲み会のようになっていた。
お酒も入って気分が良くなったヒデさん、帰りにはちゃっかり贈り物のお酒を大量に購入していた。

 

 

神奈川日記後編へつづく

■Staff Profile
日本全国47都道府県の旅で、現場マネージャー兼、カメラマン兼、ドライバーを担当。
10代でサッカーをするために単身ブラジルへ渡った経歴の持ち主で、
ポルトガル語・英語・フランス語を話す。