2010.08.04

石川日記後編

午後は加賀友禅の毎田健治さんを訪問。
ここでは、多分常識と言われるような事をいくつか教えて頂いた。
恥をしのんで書くと、例えば「紋(家紋)」について。
一家には必ずあるそうなのだけど、自分には座敷の仏壇の上かどこかに、あったような、なかったような…程度の記憶しかなく、それがどういう形かなどは全くわからない。

よく「紋付袴」などと言うけども、この「紋」は当然家紋の事であり、もし自分がこれを作るとするなら自分の家紋を知っておく必要があるのだ…全く知らなかった。

折角覚えたし忘れたくないのでもう1つ書かせてもらうけども、紋付きかどうかによって着物にもラフとかフォーマルというのがあるらしい。
これはすごい…と無知な僕は感動してしまったのだのだけど、これは34才くらいの大人(?)ならば誰でも知っている事なのだろうか?
とにかく、この旅は勉強になるという事を改めて思った。ただ、これを忘れてはいけないので、酒の席ででも誰かにどんどんこういうネタを話そうと思った。

target=”_blank”>金沢大地の井村さんを訪問。
こちら、麦、米、大豆の有機農業を大規模でやられているかなり珍しい農家さん。と、簡単に書いてしまったのだけど、JASの認証を得て有機農業を大規模で行うというのは本当に難しいらしい。
そのうえ、井村さんは自らメーカーと組んで商品開発なども行っているというからすごい。

井村さんは元々広告代理店で働いていたサラリーマン。優しそうで大きな目が特徴的な、とても柔らかい雰囲気の方なのだけど、「脱サラして有機を始めた時なんかは、全部自分でやってましたから、本当に何日も徹夜なんて当たり前でした。」と笑いながら語るその言葉の端々に、これまでに相当苦労されたんだな、というのがうかがえた。

現在は日本酒やワイン、お醤油、麦茶など色々なものを作っているらしいのだけど、「農家も色々やっていかないといけない。」という。
話を少し聞いただけでも、僕からするともうかなり成功されているように思えるのだけど、「まだまだ日本ではオーガニックに対する理解が薄いんです。早く欧米のようになって欲しい…。」と漏らしていた。
ただそれでも、これまでは自分が描いた設計図通りにできたこと、「色々な人に助けられましたが、一番は消費者さん達ですね。」と笑顔で言われたのが一番心に残った。

その後、ヒデさんお気に入りのお酒「鮮」を造っている松浦酒造へ寄ってから、終了。

最終日は朝から尾山神社、那谷寺(なたでら)とまわる。ちなみにこの那谷寺、ヒデさんの中でも1、2を争うお寺である。

それから加賀を出て、金沢にある直源醤油に寄り、僕らはまた能登半島の先、輪島市へ。訪問先は沈金師の前史雄さん。この方もまた、人間国宝だ。ここ、2日目に来た朝市の通りから50mほど入った場所だった事もあり、
「まんじゅう買って来てあげたら?高橋さんたち食べてないしさ。」
とヒデさん。
あぁ、そうだったな、と思って撮影中にふらりと通りへ。僕はみんなの分と、こっそり自分用に1つ多めに買って来た。

沈金とは、漆器の代表的な加飾技法として「蒔絵」と共にあるものだという。それにしても漆器は美しい。
香川漆器を訪れたときも、ヒデさんが「もう、洋食器みたいだね。」と言っていたように、こちらにあった物もとてもキレイな輝きを放っていた。

あの手この手で撮影する牧。表情からは冗談でやっているのか真剣なのかが見て取れない。

石川県、最後の訪問先は漆造形作家である、青木千絵さん
田園風景の広がる民家の離れの農機置き場をアトリエにして活動されている。外からみたら、普通の民家の中にこんなアートがあるとは予想もつかないような感じだし、一体どういうツテでこのお家に辿り着かれたのだろうか、と不思議になる。
エアコンも何もなく、とても暑かったのだけど、蝉の鳴き声と窓の外に広がる田園風景から、小学生時代を少し思い出してしまった。

青木さんは岐阜のご出身なのだけど、金沢の方が漆もあるし、湿気も多く作品作りには適しているという事でこちらに住んでいるとの事。
ヒデさんとも現代美術についての話で盛り上がっていたのだけど、飛行機の時間が迫っていたので、そう長居も出来ずにここを出た。


大樋長左衛門さんを訪ねた際の最後、大樋年男さんがヒデさんにこんな事をおっしゃった。
「1度目会った時、2度目会った時、そして今回と、会う度に変わっていかれますね。」
最初に会ってから、まだそんなに時間も経っていないはずなのだけど、年男さんはヒデさんの変化に気付かれた。
どういう基準かはわからない、ただ、ヒデさんは明らかに変わっているという事なのだろう。僕からすると、ヒデさんは何も変わっていないのだけど、僕が気付けていないだけなのだろう。
果たして僕にも、そんな見えない変化があるのだろうか。

次は北陸最後、富山へと向かう。

 

■Staff Profile
日本全国47都道府県の旅で、現場マネージャー兼、カメラマン兼、ドライバーを担当。
10代でサッカーをするために単身ブラジルへ渡った経歴の持ち主で、
ポルトガル語・英語・フランス語を話す。