2010.07.25

福井日記前編

旅は北陸へと突入。奈良で用事のあった僕らは滋賀を抜け、2時間以上のドライブを経て福井県は大野市へ。

最初の訪問先は真名鶴酒造さん
この大野という土地は、酒造りの好適米である「五百万石」の特産地でもあり、名水百選にも選ばれる水と厳寒な気候により、酒造りに非常に適しているとされている。
蔵元である泉さんにまずは蔵を案内頂き、お話を聞く。通された座敷からは、非常に洒落た戸の向こうに夏の光りに照らされたお庭が覗いていた。

2台の扇風機が外の風を心地よく中に運んでくる。
真夏とは言え、東京では冷房の部屋に入り浸っている僕にとってはその風がとても特別に思えた…のだけど、ムービーディレクターの大島は隣で、ひたいに吹き出す汗を可愛らしいハンカチで拭っている。

利き酒の為にお酒が運ばれて来る。その時、「ん?」と思った。
利き酒用のグラスが、何か違う。よく見ると、赤、青、黒の3色が美しく光るグラスがヒデさんの前に並べられていた。ヒデさんも手にとってジッと見ている。
「それは、リーデルというオーストリアの有名なワイングラスのメーカーのものに、漆を塗ってあるんです。日本のハイゴ(HIEGO)というブランドのものです。」
と泉さんが教えてくれた。僕はリーデル、という名前がうまく聞こえなくてメモに「リーデ・・?」と書いていると、
「あ、リーデルのなんですか。へぇー。」
とヒデさん。
この人はどうしてそういうワイングラスのメーカーまで知っているんだろうと不思議になる。性格が細かい部分もあるのはわかるのだけど、僕はこれまで意地悪に指紋がついてないかをチェックしたりする以外にワイングラスをマジマジと見たりメーカーを気にしたりした事など1度もないのに…。

2日目は早朝からまた輪島市への50kmの道を戻る。
その後にもう一軒酒造をまわり、その日は宿へ。
福井県北部にある三国温泉街の望洋楼(ぼうようろう)へ。
僕らの旅の楽しみ、以前も話したけどもそれは風呂の時間だ。
夜に入った時はそこに広がっているはずの日本海が真っ暗で何も見えなかったのだけど、次の日6時起きして入った朝風呂では、眼前に広がる海と朝焼けを堪能できた。
まだ、僕が好きな暑いお湯と冷たい外気のギャップを楽しめる時期ではない。早くまた冬が来ないかな…などと思いながら、ふと、プラスチックに囲まれた家の狭苦しいユニットバスを思い出してしまい、少し憂鬱になってしまった。
隣では大島が気持ち良さそうに朝日に顔を照らされている。僕らスタッフは毎回良い宿に泊まれるという訳ではないのだけど、つくづく大島は宿の運が良いと思う…。

2日目、最初の訪問先は東尋坊オレンジスイカを作っている新井さん。
オレンジスイカとはまさに、切ってびっくり、中身がオレンジ色のスイカの事だ。一体どういうものだろう、と不思議に感じて行った畑で実際に見せてもらう。驚いた事に、本当に中身がオレンジだ。
これ、夏の渓谷などでやる目隠しスイカ割りなどで使ったら、「うわーっ!スイカがオレンジだー!」と子供達に大ウケである事、間違いない。

このオレンジスイカ、とても糖度が高いらしく、香港では1玉1万円の値段がついた事もあるという。なんでも、甘くする為の技術として、余分な芽を摘むだけでなく、時期によってつねったりひねったりするという。
そうする事でスイカが生命の危機を感じ、子孫を残そうと頑張る事から甘くなるとの事。
当然だけど、みんな生きてるんだなぁと感心させられる。

 

福井日記中編へつづく

■Staff Profile
日本全国47都道府県の旅で、現場マネージャー兼、カメラマン兼、ドライバーを担当。
10代でサッカーをするために単身ブラジルへ渡った経歴の持ち主で、
ポルトガル語・英語・フランス語を話す。