2010.07.25

福井日記中編

その後は福井県農業試験場へ。
まずは福井県の農業について、お米の稲などについてのお話を伺ったのだけど、福井は梅、梨、柿の産地だそうだ。お米にしても、コシヒカリと言えば僕の中では新潟のイメージが強かったのだけど、なんとこの農業試験場で誕生したという。…全然知らなかった。

説明を受けた後で稲の交配の作業体験へ。
皆さんが作業を行っているという場所へ向かう途中、「相当暑いですから本当に暑いですから…。」と担当して頂いた方が申し訳なさそうに言う。
「いやぁ、僕らは慣れてますから、大丈夫です!」と元気に答えた僕。
実際に入ってみると、確かに暑い。作業されている方々、全員の服が汗でグッショリとしている。
ヒデさんもさすがに、「ちょっとツナギに着替えるか…」と車に戻る。

着替えたヒデさんが早速挑戦。その部屋の気温は40℃との事。
花を咲かせ易くするための熱い電球の下で、稲の先を見つめながら咲きの悪い花をハサミで地道にカットする作業が続く。
作業するヒデさんらを見て立っているだけの僕、じわじわと汗が噴き出して来た。カメラを回す大島の腕も汗ですごい事になっている。
耐えられなくなった僕は、「あ、電話だ。」と誰に対して言っているのかわからない嘘を呟いて外に出る。外も35℃近くはあるはずなのに、まるでクーラーの利いた部屋のように涼しく感じた。その気分はどこか、授業を抜け出して誰もいない校庭に出た時に似ていた。

体験の後はお米の食味。
「コシヒカリ」、「イクヒカリ」、「ハナエチゼン」、「日本晴れ」の4種類を食べ比べてみるヒデさん。そう言えば、奈良の薬師寺では5種類のお香当てゲームをしたな、と思い出した。
2つを見て思うのは、ヒデさん、こういうのはあまり得意ではないようだ。

続いて訪れた先は増永眼鏡さん
なんと、日本の眼鏡産業の96%を福井県で生産しており、色々な外国のファッションブランドのサングラスなども福井で作られている事が多いそうだ。なんでも、豪雪地帯であるこの辺りの冬の収入を確保する為に、眼鏡産業が大きく発展したらしい。

工業デザイナーの川崎和男さんも同席され、お話を伺う。
ヒデさんと言えばサングラス、というくらいイメージが強いと思うのだけど、実に以前は数え切れないほどの眼鏡、サングラスを持っていた。タオルやホテル、お菓子などと同様に、眼鏡に対するこだわりと知識も深いものを持っているヒデさん、当然この日も話は弾んだ。
幾つかの増永眼鏡の製品を実際にかけてみたりしていたのだけど、服を選ぶ時同様、すごく楽しそうで、自然と笑顔が漏れていた。

話の中で、「日本人は外国の人と比べてあまりサングラスをしませんよね?」とヒデさんが言う。それに対しての答えが興味深かった。
「茶色とか青い瞳は黒い瞳より光に弱くて、日差しが強いと耐えられないんです。そういう理由もあって、黒い瞳の日本人にはサングラスが普及しなかったのかもしれません。」
なるほど、外国でサングラスを使う人が多いのは、単純にファッションという理由だけではなかったのだ。
多分、太陽の光を日本人が感じる以上に強く感じていて、その苦痛を、サングラスを使うことで和らげているのだろう。

そこから今度は越前和紙の岩野市兵衛さんを訪問。
この方、人間国宝である。少なからず緊張していた僕だけど、迎えてくれた岩野さんは周りをリラックスさせてくれる、そんな気持ちの良い笑顔の持ち主だった。

ここでもヒデさん、和紙作りに挑戦。この紙漉き、回を重ねる毎に上手になってきた陶芸と違い、相当に難しい。
何度やってもうまく行かず、「これは無理です!」とヒデさんも笑うしかない。
「2ヶ月です、2ヶ月。2ヶ月毎日やれば出来るようになりますよ。」
とサラッと言う岩野さん。
僕らも苦笑いするしかなかった。

福井日記後編へつづく

■Staff Profile
日本全国47都道府県の旅で、現場マネージャー兼、カメラマン兼、ドライバーを担当。
10代でサッカーをするために単身ブラジルへ渡った経歴の持ち主で、
ポルトガル語・英語・フランス語を話す。