中田は、日研総業株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役社長:清水浩二、以下:日研総業)と共に「モノづくりニッポン e仕事×ReVALUE NIPPON」プロジェクトを立ち上げ、モノづくりによって日本の若者の働き方を豊かにしていくべく様々な活動を2014年より取り組んでいます。
今回のプロジェクトでは、2015年5月からのミラノ万博を控えて、日本の伝統文化や技術の高さ、“ジャパンクオリティ”を国内外に伝え、次世代に繋いでいく一流の「塗師」を育成するキャンペーンをスタートしています。この企画では、漆芸家で重要無形文化財保持者(人間国宝)の室瀬和美氏がプロジェクトに参画し指導にあたります。
それぞれ全く異なるバックグラウンドを持った5名の日本の“モノづくり人”志望者たちが初めて集い、都内にある室瀬氏の工房での研修をはじめました。室瀬氏の研修を受けた志望者の青柳善武(あおやぎ よしたけ)さんは「ペンキ塗装の経験はありますが、漆塗りは何もかもが違う!」とコメント。改めて漆塗りの技術の奥深さを実感していました。現場には、中田も駆けつけ、「どこに行くか、どういう作品ができるかではなく、まずは自分がやりたいことを見つけ、それに向かって行くことが必要。興味を持ってここに来ているということが大事。」と、研修を受けている5名に檄を飛ばしました。
志望動機について、土岐絵里(どき えり)さんは「日本文化に興味はあるものの、海外に行った時に日本について話せなかったことが動機です。キャンペーンのWEBサイトにある中田さんのムービーにも惹かれました(笑)」と、海外での日本人としてのアイデンティティについて、自分の想いを語ってくれました。そして、今後のミラノへ向けて、岸修平(きし しゅうへい)さんは「わからないことや覚えることも多いかと思いますが、日本のモノづくりのエッセンスや価値観を身に付けたい。研修が進むのが楽しみです!」と、大きな期待と意気込みで、研修にも臨んでいきます。
今回の5名の塗師志望者の方々には、伝統工芸から現代に伝わる日本の「塗り」の精神、技術を学んでいただき、中田とともにイタリアに渡り、ミラノ万博の開催時期に、現地での中田の日本文化の発信イベントなどに参加する予定です。現地では世界に通用する、モノづくり人としての目も養って、帰国後は現代のモノづくりの現場でジャパンクオリティを次世代に継ぐ「塗師」となるべく、日研総業が全力でサポート。国内研修費及びミラノへの渡航費は日研総業が負担し、それぞれに就労している時間は給与も支払われ、日本の文化を発信するだけでなく、次世代の日本のモノづくり産業を支える“ヒトづくり”のプロジェクトとなっています。
数百通以上の応募の中から選ばれた5名の塗師志望者たちは、6月の初旬まで複数回に分けて室瀬氏の工房で漆塗りを師事し、“塗り”の技術や知恵、日本の伝統工芸の魅力を身につけていただく予定です。
また、現代の“塗り”とも言える塗装産業のリーディングカンパニーである総合塗料メーカー関西ペイント株式会社の塗装現場での研修も予定しており、伝統工芸としての“漆塗り”だけでなく、現代の産業としての“塗り”である塗装産業の現場でも、日本のモノづくりのエッセンスや魅力を体感し、身に付けていく予定です。
≪研修初日概要≫
「モノづくりニッポン e仕事×ReVALUE NIPPON」プロジェクト第2弾
ジャパンクオリティを継ぐ「塗師」育成プロジェクト研修初日
■日 時: 3月18日(水)
■場 所: 都内 室瀬氏工房
■出 演: 中田 英寿
・室瀬 和美 /漆芸家、重要無形文化財保持者(人間国宝)
・清水 浩二 (日研総業株式会社 代表取締役社長)
・塗師志望者5名(男性3名、女性2名)
青柳 善武(あおやぎ よしたけ)さん、岸 修平(きし しゅうへい)さん、
新田 智紀(にった とものり)さん、大滝 礼果奈(おおたき れみな)さん、
土岐 絵里(どき えり)さん
【研修レポート】
■室瀬氏「簡単そうに見えますが、同じようにやるのは難しいです」
初日の本日は、漆塗りの歴史や道具、作業工程に関する座学を行い、その後“木地固め”という、器に漆を塗っていく作業を行いました。 |
■日本的な漆。だからこそミラノに持っていく価値がある。
研修現場には中田も駆けつけ、研修生たちとコミュニケーションを取りながら、自身でも経験した漆塗りの奥深さを語っていただきました。今回研修で作っていただく酒盃も、ミラノへ持っていくクラフトの一つになる。内側が漆で外側がヒノキのままという酒盃は、中田氏も出来栄えに期待する。「ちょうどいいサイズの酒盃ですね、漆なら熱伝導率が低いから燗(かん)でも冷(ひや)でもいい。」と、実際に漆器を使って飲む日本酒の魅力も語り、自身のホームでもあるイタリアのミラノ万博へ、期待と自信をみせていただきました。 |
■中田への質疑応答
Q.本日は研修初日を視察して、いかがでしたか?
A.室瀬さんに教えてもらえる機会は非常に貴重ですので、自分も研修生の一人のような気分で、室瀬さんの講義を聞かせていただきました。初めて知るような発見もありますね。
Q.改めてになりますが、今回「漆」にフューチャーした理由はどういったものですか?
A.個人的に好きなのもありますし、焼き物などに比べても、漆はより「日本的な」ものだと思いますので、今回世界に向けて発信していくにあたって適しているかなと思ってます。
Q.今回研修を受ける5名をみて、いかがでしたか?
A.多少の経験がある方もいるかもしれませんが、やらされているわけでもなく自分で興味を持ってここに来ていることが大事。伝統工芸や伝統文化は、単に昔のものという意味ではなく、今行きている僕達が使うものでもあると思います。彼らに期待するのは、どこに行くか、どういう作品ができるかではなく、まずは自分がやりたいことを見つけ、それに向かって行くことですね。伝統工芸は一度始めると終わりがないものでもあるので、そこにあるモノづくりの考え方や、日本文化の精神性を学べれば良いと思います。
■室瀬氏への質疑応答
Q.今回研修初日を終えて、研修を受けている5名は、いかがですか?
A.今日の出来は大丈夫です、遜色ありません(笑) 5人それぞれ異なる背景を持っていると思いますが、手仕事は日本のモノづくりの源でもあるので、これからミラノまで鍛えていきたいと思います。技術的な面はともかく、漆のもつ精神性や日本人としての価値観は十分身に付けられると思います。
Q.研修生に伝えていきたい漆の魅力や価値観はどのようなものですか?
A.現代の塗装も、伝統工芸の塗装なくしてはあり得ず、日本の「塗り」というものはそのモノづくりの価値観がずっと続いているというところですね。今回はほんの触りになるかもしれませんが、ここでの経験で日本文化の良さや深さを身に付けて、今後の人生に役立てて欲しいです。